たたら製鉄

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− 広島が育んだ「安芸十り(とうり)」 −

「安芸十り(とうり)」とは、「ヤスリ、イカリ、ハリ、クサリ、キリ、モリ、ツリバリ、カミソリ、ノコギリ、ヤリ」・・10個の「り」がつくもの。たたら製鉄の文化が育んだ広島のモノづくり文化である。広島では主に「ズク押し法」という製法が用いられ、古くから鉄のモノづくりが盛んで、広島のたたら製鉄は全国の鉄の生活文化を支える原動力となり、今も広島のモノづくり文化を継承している。

たたら製鉄とは、世界各地でみられた製法で、砂鉄を還元し鉄を得る方法で、空気を送り込む送風装置の「ふいご」が「たたら」と呼ばれていたため、そう呼ばれたといわれている。古くから、たたら製鉄は山陽、山陰地方で盛んに行われ、広島県内では寛永年間から始まった「加計隅屋鉄山」が有名である。太田川上流域に多くの精錬所を設け、その経済力から広島藩や周囲の藩にも影響を及ぼしたが嘉永6年に製鉄業が藩営となり加計隅屋鉄山の歴史も幕を降ろすこととなる。一説には、扇状地である現在の広島市街地のデルタは、製鉄のために太田川上流で森林を伐採し、山を切り崩し土砂が川に流れ出たことが原因ともいわれている。環境の悪化が問題となっている今日、環境に配慮した産業を心がけたいものである。